「セブン&アイ・ホールディングス 営業益最高」の記事を検証

セブン&アイ・ホールディングス 営業益最高

掲載元:日本経済新聞 2017年10月8日朝刊 
内容要約:・2017年3~8月期は、営業利益が1,900億円強(前年同期比6%増/5期連続で同期間最高益更新)かつ、従来予想(1,908億円)を超過見通し。
・営業収益(=売上高)は、約2.98兆円(4%増)。
・コンビニ:既存店売上高は61ヵ月連続で前年同月を超過。
・総合スーパー(イトーヨーカ堂そごう・西武):営業損益改善(経費削減・食品強化)
・ニッセンHD:在庫管理の精度向上で、値引き販売減少。営業赤字幅縮小。
・10月12日に、同期間の決算発表予定。

検証テーマ:セブン&アイ・ホールディングスの業績は、過去4期と比較しても好調と言えるのか。

 
検証内容:今回考察をしてみるのは、だれもが知るセブン&アイ・ホールディングスの業績である。好調と言えるのかという広いテーマでは、残念ながら、検証も出来ないので、ここでは、好調=「過去5期の営業利益増加率の平均値と比較して、今期の営業利益の伸びは大きいか小さいか」で見ていく。

 

こちらの表は、セブン&アイ・ホールディングスの過去5期の売上~経常利益までを載せたPLである。

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こちらの表を見てみると、営業利益は過去4期の成長率5.4%と比較するとまぁ、例年並みの成長をしていると言える。一方で気になるのは、売上原価+販売費及び一般管理費の合計金額が、上昇していることである。同数値は、直前2期においては、縮小で推移してきた。さらに、本記事で記載されているように、総合スーパー事業を始めとして、経費削減が進んでいるよう見えるため、若干不整合な数字に感じられる。

 

セブン&アイ・ホールディングスの主なセグメントは、コンビニエンスストア事業(営業収益:1,247/営業利益:160)、スーパーストア事業(営業収益:1,016/営業利益:8)、百貨店事業(営業収益:413/営業利益:△2)、フードサービス事業(営業収益:42/営業利益:0.3)、金融関連事業(営業収益:97/営業利益:26)、通信販売事業(営業収益:58/営業利益:△5)、その他の事業(営業収益:27/営業利益:2)と6つに分かれている。(単位は全て10億円です。)

 

今回の、売原+販管費の増加幅は、1,060億円であることを踏まえれば、コンビニ・スーパー・百貨店のいづれかで経費の増加が生じていると考えられるだろう。

果たしてどこのセクターで増加しているかは不明であるが、私は、今回の経費増加は売り上げと売上原価の増加による健全な増加であると推察する。

 

ここで、以下のとおり仮説を立ててみる。

仮説:食料品など原材料の価格上昇によって、売上高・売上原価ともに増加したことが今回の経費増加をもたらしている。

 

・小売り事業3種のすべてに共通している商品が、食品であること。

・2017年度は、食品において全般的に値上がりが見られたこと。(根拠:http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/kouri/attach/pdf/index-34.pdf

以上の仮説は、12日に数値が公表されてからまた答え合わせをしてみたいと思う。